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図書室の海

4101234167図書室の海
恩田 陸

新潮社 2005-06
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告編大会のような短編集。恩田陸のファンならば、どの短編がどの長編に属するのか、まだ書かれていない長編に思いを巡らすことなど出来るだろうが、さほどでもないわたしには、表題作の「図書室の海」が「六番目の小夜子」に属することくらいしかぴんと来ない。短編小説としては、「ある映画の記憶」が面白かったが、一番気になるのは「国境の南」だった。
 この話でぴんと来た小説があるにはあるが、恩田陸作品ではない。立原えりか著作「恋する魔女」に収録された「趣味は殺人」の一挿話をどうしても思い出す。恩田陸自信も、後書きでモチーフとなっていることを記している。この「恋する魔女」というすでに絶版となっている作品集は、わたしが大好きだった本のひとつである。宇野亜喜良のエキセントリックな挿し絵に彩られた本だった。涙の形をした湖に愛する人を沈める女の子の話。休日の奥様の衣装を身に纏ってお出掛けをするお手伝いの女の子話。恋しい人を子リスに変えてしまう女の子の話。それぞれにロマンチックで残酷な物語だった。
 「趣味は殺人」は殺人を趣味とする女の子のお話で、いつくつかの殺人のひとつが、ヒ素を水差しに溶かし込みウエイトレスのお話。こちらは女の子の一人称で書いているが、「国境の南」は過去に起きた事件として、他者の目から描いている。他者から見るとこうなのねという感じで元ネタを知るものとしては、面白かった。そういえば、「趣味は殺人」のコロシは全て(だと思う)毒殺だった。
 「毒」とはどうも、人を魅了せずにはいられないものらしい。最近、起きた女子高生が母親に毒を盛った事件。解明されていない部分が多いので、事実とかけ離れた想像(妄想に近いか)、毒薬に魅せられてしまったのかなと妄想してしまう。和歌山ヒ素カレー事件は、ヒ素の「だんだん死に至らせる」というイメージとかけ離れていた。毒殺者のイメージと被告もかけ離れているが。言っては何だが、撲殺が似合ってるよなぁ。
 あまり、実際の事件を例に出すのもなんなので、フィクションの世界からもうひとつ。「ガラスの仮面」で、マヤが「ふたりの王女」のオーディションで「毒」を手にした女のセリフを与えられ、「毒薬」という寸劇を演じるシーンがあった。「毒」を手にし、「殺したいあなた」は誰なのか、「毒」をどうやって仕込むのか。ただ、セリフを言っただけの他候補者との違いを見せるための(そのためだけの)エピソードではあるが、その後のレストランを舞台にした寸劇も含めて面白かった。
 
 女子高生の犯罪を告発したのは兄なんだそうだが、肉体が弱っていく母と毒に魅入られて壊れていく妹を同時に見てしまうとは。彼の今後が凄まじく気にかかる。
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